移住先でのインフラ整備と生活の改善 ~山間の古民家で快適に暮らすために~

住まい・インフラ・生活環境

都会の喧騒から離れ、自然豊かな土地でのんびりとした暮らしを夢見る人は少なくありません。実際に移住を考える中で、多くの人が不安に思うのが「田舎のインフラ整備」や「生活の快適さの確保」です。この記事では、52歳で大阪から山口県の山間部へ移住した筆者が、古民家暮らしの中で取り組んだインフラ整備や生活改善のリアルな体験談をご紹介します。これから田舎移住を検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

井戸水の利用と安全確認 ~暮らしの要は「水」から始まる~

私が移住先の物件を探す中でこだわったのが、「井戸水が使用できること」。水道代の節約だけでなく、自然の恩恵を受ける暮らしを実現するために、井戸水は大きなポイントでした。

購入前には住宅診断(ホームインスペクション)を実施し、水回りの状態を確認。そして実際に井戸水を使う前に水質検査(12,540円)を依頼しました。検査項目は一般的な飲料水基準13項目に加えて、フッ素・マンガン・ヒ素といった追加3項目を含むものでした。

結果、安全性が確認され、今では安心して井戸水を利用できています。ちなみに、現在は水質検査をお願いした業者に、浄化槽の清掃・維持管理もお願いしました。こうした専門家との長期的な関係構築も、田舎暮らしを快適にする大きな要素です。

電気はすぐに開通、ガスは使わず薪で暖をとる暮らし

移住直後、電気の開通はスムーズに行えました。特にトラブルもなく、必要なライフラインはすぐに確保。しかし、我が家ではガスを使わない選択をしました。山間部という立地もあり、お風呂は薪で沸かす昔ながらのスタイルです。

薪の調達には少し工夫が必要でしたが、地域の方々との会話の中で、造園会社とつながることができ、現在では剪定で出た廃材を無料でいただいています。薪は1年間乾燥させてから使用。火のつきが良くなり、煙も少なくなるので、薪の「熟成」も大切な工程です。

寒さが厳しい冬から春先まではストーブも併用し、5月まで使うことも。都市部では考えられないかもしれませんが、こうした自然に寄り添う暮らしの快適さも、田舎の魅力の一つです。

インターネット環境の整備 ~Wi-Fiで快適ネットライフを実現~

田舎暮らしにおいて、もう一つ重要なのが「通信環境」です。仕事や情報収集、買い物やメルカリショップ運営にも不可欠です。

私の住む地域では、ケーブルテレビによるネット接続が主流ですが、初期費用が10万円以上と高額だったため、よりコストの低いWi-Fiルーターの活用を選びました。

最初に試したauのホームルーターは電波が届かず断念。しかし、docomoのWi-Fiに変更したところ、安定して利用可能に。現在はdocomo回線のWi-Fiと、UQモバイルのスマートフォンを併用しています。今のところ通信環境に不便を感じることはありません。

古民家の改修と補助金活用で安心スタート

物件購入前にはホームインスペクション(住宅診断)を実施(90,200円)。検査は外壁、天井裏、室内、設備まで幅広くカバーされており、雨漏りや水回りの問題がないことを確認。リフォームの費用も抑えられる結果となりました。

改修費は約150万円かかりましたが、自治体の補助金を活用し100万円が支給され、大幅な負担軽減に成功。書類申請はリフォーム業者が代行してくれたため、手間もかかりませんでした。

田舎移住において、補助金制度の確認と活用は必須です。対象になるなら、ぜひ積極的に利用しましょう。

快適さと安全性を両立する暮らしの工夫

夏は、かつて大阪で毎日使っていたエアコンが不要なほど涼しく、自然の風だけで過ごせたのは大きな驚きでした。その一方で、冬の冷え込みは想像以上。断熱材の補強やストーブの活用など、冷暖房の工夫は不可欠です。

防災面では、物件購入前にハザードマップを必ず確認。注意点として、ハザードマップは年々更新されており、「前の住民の時代は対象外だったのに、今は警戒区域」ということもあります。

私の家も土砂災害警戒区域に該当していますが、年間5,000円程度の火災保険に地震保険を付帯してリスクに備えています。リスクを把握し、過度に恐れずに対策を講じることが重要です。

「少し早めのリタイア生活」の実現に向けて

私が52歳で移住を決断したのは、本格的なリタイアを迎える前に“基盤を作る”ため。65歳からではなく、10年以上の時間をかけて、自分に合った生活スタイルを整えていきたいと考えました。

いまは、鶏を育てて卵を収穫し、家庭菜園で野菜を作り、メルカリショップで商品を販売する日々。さらに、地元のガソリンスタンドや施設警備の仕事にも挑戦し、地域と関わりながら学びと成長を続けています。

まとめ ~インフラ整備と生活改善で広がる「田舎の可能性」~

田舎暮らしは、決して「不便」だけではありません。自ら整備し、工夫し、地域とつながっていくことで、暮らしの質を高めることができるのです。

水・電気・通信・暖房といったインフラを一つずつ見直し、補助金や地域のつながりを活用することで、快適で安心できる田舎生活が実現します。

これから移住を考えている方へ。自然の中で、心豊かな暮らしを始めるためには、最初の一歩をどう踏み出すかが大切です。私の経験が、その一歩を後押しできれば嬉しいです。

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