田舎暮らしでのコミュニティ参加と人とのつながり

移住・田舎暮らし全般

大阪から山口県へ。縁もゆかりもない土地で、私たち夫婦は新たな生活をスタートさせました。空き家バンクで購入した家と広大な田畑、鶏の飼育に家庭菜園、そして小さな商いとアルバイトを掛け持ちする毎日。その中で何よりも大切だと感じたのは、「人とのつながり」でした。

この記事では、田舎暮らしでのコミュニティ参加や、地域の方との関わり方を通して見えてきた、人間関係のリアルな一面をお届けします。

移住初日から「赤福」がつないだご縁

移住して最初に行ったのが、近隣住民へのご挨拶です。

ありがたいことに、私の住む地域では「移住支援員制度」があり、支援員の方と一緒に挨拶まわりを行いました。そのとき、持参したのは三重県の銘菓「赤福」。

大阪からの移住なのに、なぜ伊勢名物?と思われるかもしれません。実は、あえて大阪らしいものを避け、「ちょっとした会話のきっかけ」を狙っていたのです。

狙いは的中。「赤福って大阪やったっけ?」「伊勢の出身ですか?」と、自然に会話が弾み、笑い声が生まれました。この体験は、“会話の種”になる工夫の大切さを実感した瞬間でもありました。

自治会や草刈りも大切な「参加のカタチ」

田舎暮らしにおいて、地域の行事や共同作業は「人とつながるきっかけ」になります。
私の地域では、年に1回の自治会総会、夏祭り、そして数回の草刈り作業があります。

私は草刈りに備えて、移住準備中に大阪で刈払い機の安全講習を受講しました。周囲からは「そこまでしなくても…」と言われましたが、私は地域の人と接する機会に、ある種のワクワクを感じていたのです(笑)。

一方、妻は女性たちと一緒に集会所の清掃に参加しています。年に数回行われ、長机の拭き掃除や照明器具、窓ガラスの掃除を近所の方々と分担。さらに、子ども会の行事(地蔵盆)にも積極的に関わっています。

こうして、夫婦それぞれが自分の役割を自然に見つけて地域と関わっていくことが、田舎暮らしの中で無理なく人間関係を築いていくヒントかもしれません。

距離感ちょうどいい、心の近さ

田舎の人間関係は「距離が近すぎて大変」という話を聞くこともありますが、私の住む地域ではむしろ心地よい距離感があります。

いわゆる「家に勝手に入ってくるおばちゃん」もいませんし、飲み会文化も車移動が基本のため、あまり見かけません。とはいえまったくのドライというわけではなく、ある日にはご近所の方から「イノシシ肉」をいただくというレアな体験も。

初めて食べた猪肉は、想像以上においしく、まさに田舎のごちそうでした。

助けてもらった感謝の気持ちは、次につなぐ種に

ある朝、仕事に行こうと車のエンジンをかけたら…バッテリーが上がって動かない!

パニックになっていたところ、近所の方々がすぐに助けてくださいました。そのとき感じたのは、人の温かさと「こういう時に、つながりって本当にありがたい」という思いです。

今はまだ誰かを助ける立場にはなれていませんが、いずれ自分も「迷わず手を差し伸べる」側になりたいと心から思いました。

小さな挨拶が、つながりの始まりになる

田舎暮らしで私が最も大切にしているのは、日々の何気ない挨拶や会話です。

昔は「なんで声かけが必要なんだろう?」と疑問に思っていました。でも今では、「おはようございます」「あったかくなってきましたね」といった一言が、自分の存在を知ってもらうきっかけになることに気づきました。

最近では、「言葉には力がある」と思うようになり、言霊という言葉がとても腑に落ちています。
挨拶ひとつ、会話ひとつが、人との距離を縮め、関係を深めていく――
そう実感する毎日です。

最後に:縁のない土地でも、縁を育てることはできる

私は、全く知り合いのいない土地に飛び込みました。でも今では、「人との縁は、自分から動いてつくっていけるものだ」と実感しています。

田舎暮らしにおいて、無理をしない、でも丁寧に向き合う。
そうやって一歩ずつ関係を築いていけば、知らない土地も少しずつ“自分の居場所”になっていくんです。

これから地方移住を考えている方へ。
派手な人間関係は必要ありません。まずは、目の前の人に「おはようございます」と言ってみることから始めてみてください。そこから、きっとあなたの「新しい道」が拓けていくはずです。

コメント